No.33: メンバにレッテルを貼ってしまっていないか
プロジェクトマネージャ(PM)あるいは管理者として、メンバや部下に不用意にレッテルを貼ってしまっていないでしょうか。それは、本人だけでなく、組織に対しても不利益を与えてしまっているかもしれません。
私がかつて企業に勤めていた時代、一緒にプロジェクトを推進した後輩に、決して器用ではなかったのですが、皆が敬遠するような顧客の懐に飛び込んでそれまで失いかけていた顧客からの信用を回復してしまうという立ち回りができる人物がいました。少し調子に乗り過ぎる面があるのですが、手綱さえしっかり握っておけば、抜群の成果を上げられると私はその後輩を評価していました。
組織を幾度となく異動していた私は、以降その後輩と一緒に仕事をすることはなかったのですが、十数年後にある組織に転籍していたその後輩の評判を耳にした機会がありました。それが、私の予想とは異なり、ダメダメだったのです。どうやら過去にPMとして自分の独断で突っ走り過ぎ、プロジェクトを混乱させてしまった様なのです。
詳細は把握していませんが、その組織を見る限り、その後輩に丸投げしていたのだろうな、というのが率直な推測でした。前述の通り手綱をしっかり握り、軌道を大きく外れない様に適時修正してあげれば、きちんと成果を上げられたのではないかと思いました。
問題は、その1プロジェクトを混乱させてしまったことではなく、その一件により以降PMとして不適格というレッテルが貼られ、そしてその一度貼られたレッテルは剥がれずに継続されていたということです。私に云わせれば、その後輩をその後PMにアサインしなくなったことによって、本人の成果・実績はもとより、組織にとっても大きな損失になったと思えてなりません。その様な状況にあったのなら、私の配下に異動させたかったぐらいです。
別な話になりますが、ある組織を率いていたときに、他の部署から人員を受け入れることになりました。当該部署が業績不振に陥り、はっきり云ってその部署において今後役に立ちそうにないと評価された余剰人員を預かる、ということになったわけです。
私はその人物と数日一緒に仕事をして、新しいことを自分で考えて始めることは苦手そうだけども、定常業務をミスなく処理していくことに長けている、と判断しました。それで組織内の定常的な管理業務を任せてみたところ、現状の管理業務の不明点についてリストアップし質問してきたうえで、細かい点まで目が行き届き予想通り堅実に業務をこなしてくれました。
これらの事例から判ることは、人間をある一つの側面、視点、観点や事例だけで主観的に評価してしまうほど、私たちはその人間のことをよく知らないということです。あるいは、よく知ろうとしないことです。人間は皆同じ特性を持っているわけではなく、その人だけの得意なことがあるので、苦手なことにフォーカスして簡単にレッテルを貼ってしまうのではなく、その得意なことを活かせる仕事とマッチさせると、本人にとっても組織にとっても幸せなことであると思います。 皆さんは、ある一面で人を評価してしまうのではなく別な面からも評価してみる、また既にネガティブな評価がされてしまっている人に対しても本当にそうか自分の観点で再評価してみる、ということをしているでしょうか。
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