No.49: その工程会議は効果的か?|プロジェクトの進め方

プロジェクトマネージャ(PM)としてプロジェクトを進めていると、進捗を確認する場というのは欠かせません。この進捗の確認の仕方はPMによって様々ですが、その前後も含めて効果的なものになっているか、というと疑問符が付くケースがあります。
最悪な例を紹介します。毎日、朝の決まった時間にプロジェクトのメンバ全員が会議室に集結し、PMがメンバの一人一人に前日の進捗を聞いていくというものです。メンバからの報告は、「ほぼオンスケ(on schedule; 予定通りに進んでいること)」であることのみ、「若干遅れていますが挽回できると思います」等々。PMは、遅れているという報告があったらその理由は確認するが「いつまで挽回できそうか」を聞いたうえで「○○までに終わらせてください」とプレッシャーを与えるのみ。一人のメンバが報告している間、他のメンバはそれを聞いているだけ。
ここまで酷い工程会議はそう無いかも知れませんが、それに近いことが発生していないでしょうか。
まず、毎日メンバの時間を固定的に拘束しているという問題があります。例え5分や10分で終わる場であったとしてもです。もしそれが毎日30分以上かかる様な会議であったなら、とても効率的に運営できているとは言えないでしょう。一方、工程会議が週に一度のものであるなら、工程に遅延が発生した時に週に一度のタイミングでは挽回策を打っても遅きに失する可能性があります。ただし、プロジェクトが大規模で工程会議が階層化されており、各チームリーダが日々進捗を管理し、リーダが集まる場が週に一度という場合は別です。
次に、メンバからその場で進捗を聞いているという問題があります。プロジェクト内で工程表を共有する仕組みができていれば、日々メンバ自身がそこに進捗状況を反映すればよく、工程会議の場では発生している問題等だけに焦点を当てることができます。共有する仕組みが無く、PM一人が工程表を更新している様な場合であっても、その場で聞くのではなく事前にメール等で状況を収集しておくべきです。そうすれば他のメンバの時間を無駄に拘束してしまうことはありません。
メンバからの進捗報告の仕方にも問題があります。”ほぼオンスケ”や”若干”という報告は、厳に改めなければなりません。実際には大きな遅延に繋がりかねない問題があっても担当者が隠しているケースがあるためです。それは、担当者が自分で解決できると思っているからというのが大半でしょうが、中にはもっと遅れそうだと思っているが公にしたくないという心理が働いてしまう場合もあるのです。
進捗は、定量的に管理しなければなりません。そのためには、個々のタスクの進度をどの様に定量化できるかということを計画段階で検討し決めておく必要があるのです。進捗報告では明確に計画〇〇%に対して進捗実績○○%等デジタルで示したうえで、遅れている理由や遅れていないとも気がかりな点を付け加えるべきです。ピーター・ドラッカー他が提唱した様に、「計測できないものは管理できない」のですから。そして工程会議は、問題の分析、挽回策の妥当性、他メンバの知見を使って支援等、前進するための建設的な議論にフォーカスする場であるべきなのです。
なお、管理はデジタルで行う必要がある一方で、実行する人間はアナログです。その性質をよく考慮したうえで、決して進捗をアナログで管理し、人間をデジタル的に扱ってしまわないよう、注意が必要です。
皆さんのプロジェクトの工程会議は、効果的に進められていますか?根性論が跋扈している場になっていませんか?