No.63: レビューを効果のあるものにできているか|プロジェクトマネージメントのあるべき姿

開発プロジェクトにおいて、計画、設計、製作、検証等の各フェーズで、第三者を交えたレビューにより手戻りを防止する活動は欠かせません。さて、あなたの組織におけるプロジェクトでは、このレビューが効果のあるものになっているでしょうか。ただの通過儀礼、予定調和的なイベント、形骸化したものになってしまってはいないでしょうか。
製品、システムやサービスの開発におけるレビューは、潜在的な欠陥や問題点を早めに見つけ修正や解決することで成果物の品質、納期、コストを計画通りに達成するための手段の一つです。プロジェクトマネージャ(PM)、担当者等一部のメンバに誤った考え、検討漏れがあった場合、それを組織的にカバーし修正するものです。
PMや現場の担当者等、レビューを受ける側すなわちレビューイとしては、この組織の知見を活かさない手はありません。避けなければならないのは、レビューを単に通過しなければならないハードルと捉えてしまうことです。そうではなく、この機会を最大限生産的なものとするために、入念に準備をして欲しいものです。
レビューイは、レビューに際して審議を受ける、いわゆる受け身の姿勢になりがちですが、そうではなく、むしろ自分たちが正しい方向に進んでいるか確認してもらう、意見を引き出すという積極的な態度で臨む必要があります。そしてレビューにおいては、レビューイ側が場を仕切るべきです。そのために、予めレビューして欲しい観点を明確にしておくことを勧めます。プロジェクトの肝心な部分にフォーカスを当て、重点的に議論しなければなりません。もちろん全体を隈なくチェックできるに越したことはありませんが、幹の部分にフォーカスせず枝葉の部分について議論する場となってしまっては、目的を達成できません。
そして、もしプロジェクトが失敗したりトラブルに見舞われるとすれば、それはPMとプロジェクトメンバだけに責任があるわけではなく、その原因となる問題をチェックアウトできなかった組織にも一定の責任があります。レビューをする側、つまりレビューアもその様な意識が必要です。そのために、レビューでは現物を確認するということを徹底して欲しいのです。
間違っても、レビューの目的だけの資料を作らせるとか、その様な非生産的かつ効果のないことをやらせてはなりません。そういった資料は、実際の設計が適切に行われているかどうかを測れるものではあり得ません。もし、レビューの目的だけの資料を作らせる管理者がいれば、残念ながらそれは本質を捉えられず自分中心にしか物事を見ていない管理者ということに他なりません。
あなたの組織では、レビューアもレビューイもレビューを効果的なものとする振る舞いをしているでしょうか。是非点検してみてください。