No.18: PDCAのバランスは適切ですか?

 プロジェクトに限らず、業務の継続的な改善サイクルとしてPDCA(Plan;計画, Do;実行, Check;チェック, Action;アクション)はよく知られています。一般にそれぞれを順番に回していくことの大切さは理解されている一方で、それらのバランスについては意識が低いというのが私の経験上の印象です。

 それぞれの比率を文字の大きさで表してみた場合、私がよく目にしたのが上図にある様な、”P”が一番大きく、”D”はその半分で、”C”は”D”より少し大きくなり、”A”は”C”の半分ぐらいになるものです。これはどういうことを意味するでしょうか。

 まず、P(計画)は一生懸命時間を掛けて作ります。PDCAサイクルの趣旨からすれば、多少計画が拙速でも適宜見直しながら前に進めていくべきなのですが、最初に精度の高い計画を作ろうと思って必要以上に時間を費やしてしまいます。これは、実行は見えずらいが計画は目に見えるので上司等が口を出しやすいということもあるものと推測します。

 計画で時間を費やしてしまったためもあってか、D(実行)の時間がなくなってしまう、あるいは折角計画で決めたことを徹底的にやり切っていないという状況が起こります。

 C(チェック)で、実行を振り返るのですが、計画で決めたことをやり切っていない中途半端な成果なので、計画そのものを見直すところまで至らず、次に続くA(アクション)は実行の再徹底という様なレベルに留まります。

 上記の様な状況では、PDCAサイクルを回しても期待した成果は上がりません。どうすれば良いのでしょうか。

 陥りがちな誤りは、PDCAサイクル全体の期限だけを定めてしまうことです。そうすると、サイクルの初期段階で時間を費やしてしまうと後の段階で時間がなくなり、やっつけ仕事になってしまいます。そうではなくて、P, D, C, Aそれぞれに期限を定めると良いのです。特に前述の通り、計画は多少拙速でもそこで決めたことをしっかりやり切り、問題を洗い出せる実行の時間を確実に確保することです。

 ただし、計画は拙速でも良いのだからと、根拠のない期待でいい加減な計画に基づく実行は、無駄な時間を費やす結果になりかねないので、ある程度の精度は必要です。

 適切な計画に基づいて実行をやり切って、うまくいかなかった問題及びその原因をチェックで洗い出すことができれば、次のアクションは非常に効果の上がるものとなります。プロジェクトに限らず、”実行”の重要性は、いくら強調しても強調し過ぎることのないことだと断言できます。皆さんにも、同じ認識を持っていただけるでしょうか。