No.19: 畦道で声だけ出していませんか?
プロジェクトマネージャ(PM)、その上位者等の管理者にとって、プロジェクトが大きなトラブル無く、粛々と進んでほしいと思うのは当然のことです。しかし、プロジェクトに多少のトラブルは付き物です。トラブルが発生したとき、あるいはトラブルの兆候が見えたとき、管理者としてはどの様なスタンスで対処すれば良いでしょうか。皆さんは、そんなとき畦道で声だけ出している管理者となってしまってないでしょうか。
プロジェクトのメンバが、田んぼに一列に並んで田植えをしている状況をイメージしてください。メンバのうちの1名が他より遅れているときに、畦道で様子を見ている管理者が、「○○(担当者名)、遅れてるぞー、急げー」と声をかけているというシーンです。
タスクの1つに計画からの遅れが見えたとき、その担当者に挽回を促すためハッパをかけたくなるのは分かります。ハッパをかけるだけで挽回できるなら、それまで担当者が実力を出し切っていなかった、いわゆるサボっていたということに他ならず、その場合は担当者が実力を出し切ろうとしない背景に目を向け対処する必要があります。単なる精神論だけでプロジェクトを推進しようとするなら、PMや管理者など誰でもできるのです。
管理者であるなら、畦道で声だけ出しているのではなく、田んぼに入ることが大切です。田んぼに入るとはどういうことか。現場で現物・現実に触れて、皮膚感覚で起きていることを把握することです。遅れている担当者がいるなら、担当者自身に遅れの原因をヒアリングし、担当者の言い訳を真に受けるのではなく、真の原因を追求することです。
それをせずに、畦道で声だけ出して何とかしようとするのは、プロジェクトを期待と願望だけで運営しているということであり、たとえプロジェクトが成功したように見えても結果オーライだったということにすぎません。そして、それでは成功の再現性がありません。
その様な管理者には決してなりたくないものです。