No.52: 決まっていないことを管理しているか?|プロジェクトの進め方

プロジェクト内の工程会議、レビュー、サブリーダを中心としたチーム内ミーティング等々において、前回議事録をその場で書いてクロージングを適切に行っているかということを問題提起させていただきました。議事録には、会議における個々の発言を漏れなく記録しなくても良いですが、最低限合意を得なければならない結論については、一切書き漏らしてはなりません。
結論とは、必ずしも議論を経て決まったこと、最終決定や方針というものだけではありません。決まらなかったことについても明確にして記録する必要があります。プロジェクトマネージャー(PM)がプロジェクトを成功させるためには、決まっていないことを決めていく道筋をコントロールすることが欠かせません。
プロジェクトの現場で、この決まっていないことを放置してしまっている状況を見掛けます。大抵どこのプロジェクトでも、決まっていないことは課題管理表や懸案管理表という形で一覧にしているものです。しかし、そこで止まってしまっている課題、懸案があるのです。一覧上の課題や懸案に対しては、その状況も管理されているはずですが、それが”オープン”のままという状態です。解決するためのアクションとして、誰が、いつ、何をするのか決めていないので、進展のしようがないのです。
なぜ、この様なことが起きるのでしょうか。PMが誰かがやってくれると思っている?自然にどこからか解決策が生まれてくる?これは一覧表を管理しているだけであって、課題や懸案を管理していることにはなりません。管理するとは、計画してそれに基づく実行状況を確認して必要なら次の手を打つ、よく云われるPDCAを回すことです。
嫌な仕事、困った問題、できれば避けたい仕事、誰もやらない仕事、誰にさせれば良いかわからない仕事は、まずはすべて管理者自身の仕事、プロジェクト内のことであればすべてPMの仕事と思うべきです。その覚悟がないから放置されてしまうのでしょう。
自分では解決できそうにない、または時間が無くて手を付けられない課題や懸案は、誰なら解決できそうか、少なくとも誰なら解決への道筋を考えられるか、客観的かつ冷静に考えれば解決策が出てくるものです。それを、特定のキーマンに集中してしまう、頼みづらいという様な理由で放置してしまっていては、私情でプロジェクトをリスクに晒してしまうことになります。誰かに担当を割り振ることによって、その担当者の持っている業務に影響が出てしまうなら、それに手を打てば良いのです。もし、まったく解決策が浮かばない様な場合であれば、上長を含め組織のリソースを活用し巻き込んでいけば良いのです。当然、組織としてPMをサポートする姿勢があることが前提です。私の経験上、PMが自分で問題を抱えてしまい結果的に放置してしまう背景には、PMを支援せずに圧力だけかける組織の存在ということもありましたので、もしPMが課題や案件を溜め込んでしまう状況が見えれば組織の文化や風土を疑ってみる必要があるかも知れません。
PMの皆さんは、決まっていない課題や懸案そのものを管理できているでしょうか?PMの上長及び組織を率いる立場にある方は、PMにプレッシャーを与えるのでなくサポートできているでしょうか?