No.96: 顧客の便益を考えているか

 顧客から、こういったシステムを作ってほしいと言われ、言われた通りのシステムを作って納入する。これはこれで顧客の要求に応えることができて、システム開発を受けた側としては及第点であるに違いありません。しかし、顧客がそれで満足しているかどうかはわかりません。

 この会社はきちんと言った通りのモノを作ってくれる、と評価され、継続して受注できるかもしれません。ただし、それは顧客にとって消極的判断であり、求めた以上のシステムを作ってくれる会社があれば、いつかそちらに発注先が切り替わってしまう可能性があります。

 言われた通りにモノを作ってきたはずなのに…と後悔しても後の祭りです。それは言われた通りにしかモノを作れなかったということでもあるのです。どうすればよかったか。

 顧客から、こういったモノが欲しいと言われたときに、その目的を捉え、こういったモノはいかがですか、これを付け加えてはどうですか、という様に提案できるかどうかで、顧客の心象と信頼はまったく違ってきます。

 この様な働きかけができるかできないかの違いはどこにあるのでしょうか。それは、顧客の”便益”を考えているかどうかだと思います。顧客はこういったシステムを求めているが、それはなぜか。それによって何を成し遂げたいのか。そこに目を向ける必要があります。

 システムやモノを作るのは、顧客が成し遂げたいことの手段であって目的ではありません。顧客の企画部門から言われた通りのシステムを作って納入したが、実際にそのシステムを使用する顧客側現場の担当者にとって便利なものでなく、そのうち使われなくなってしまったのでは、作った側にとっても嬉しいはずはありません。

 例えばそのシステムを導入したら、誰が使うのか。どんな使われ方をするのか。現状はどういう運用がされていてそのシステムが入ることによって運用はどう変わるのか。そしてそれは利用者、さらには顧客の組織全体にとってプラスになるのか。そういったことまで考えてシステムを作りたいものです。

 あなたの組織がシステムを開発する専門家集団であるなら、その専門家としての知識、知見から、顧客が気がついていないことを提案でき実現できるはずです。その結果当初顧客が考えていた以上の便益をもたらすものになれば、顧客の評価は及第点を大きく超え、外注先や単なる業者として見られていたものが、パートナーとして扱われることになっていくでしょう。

 そうなれば、当然ですが顧客も、あなたの組織もどちらもハッピーです。

 どうでしょうか。あなたの組織、企業は、顧客からの要求に対し、顧客の便益に思いを至ったアクションができているでしょうか。その様な考え方が自然にできる組織を作り上げることができているでしょうか。

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