No.95: その体制でプロジェクトのゴールに向かえるか

前回、プロジェクトの規模に合った体制について取り上げましたが、当然のことながら頭数を揃えただけでは意味がありません。量だけでなく、いやむしろ量以上に質が重要です。
私は数々の異なるプロジェクトを渡り歩きましたが、それらは大抵、まず私が単身でそこの部門に入り込み、要件や仕様を確定させた後に、頼りになる自分のチームで開発を進めるというものでした。長いあいだ一緒にやってきて、自分のチームの力量はわかっているので、信頼して任せられました。
その後、自分が所属する組織が変わること、いわゆる転属を経験しました。別な部署で新製品を開発することになり、そのプロジェクトリーダとして私に白羽の矢が立ったのです。ここでも単身その部署に乗り込みましたが、それまでと違うのはその後も単身でそこの部署でプロジェクトを進めなければならなかったことです。
単身で異動することになったため、自分のチームは元の部署に置いて来ざるをえず、異動先の部署にいる人材でプロジェクト体制を組むしかありませんでしたが、それまで頼りにしていた自分のチームと同程度の進め方はできるだろうと、勝手に思い込んでしまったのです。
しかし、そのプロジェクト体制の能力、スキルが、自分の期待、想定と違っていることに気がつくまで、そう長くはかかりませんでした。
残念ながらかつての自分のチームメンバを引っ張ってくるわけにもいかず、それからは、付き合いのあるパートナー会社にコンタクトし、自分の目で人材を選抜してプロジェクト体制を作り直し、何とかプロジェクトの遅れを挽回してゴールに飛び込みました。
プロジェクトマネージャ(PM)は、プロジェクトのメンバを自分の目で選択して、自分が納得できる、少なくとも妥協できる体制を整える責任を持つべきだということを痛感した経験でした。
プロジェクトの目的、特性に合ったメンバを自分で選んで体制を構築するべき、というのは頭ではわかっていても、いざ現場の状況に置かれると、そこにいるメンバを活用しなければという忖度が生まれてしまいます。まずはそうせざるを得ないとしても、個々のメンバの能力、スキルを評価したうえで、必要ならば交代する、補強するというアクションをするのがPMの責任です。
自分でメンバを選べる自由がなければ、その懸念を事前に上長や経営層に知ってもらう必要があります。それでもそこにある体制でやむをえずプロジェクトを進めなければならないとすれば、そのプロジェクトの結果責任はPMが負うものであってはいけないでしょう。
あなたの組織では、PMに必要な体制を準備させないままプロジェクト管理を強要してしまっていませんか。PMに、不十分な体制のプロジェクトの責任を負わせてしまっていないでしょうか。

