No.118: 真の要求を見つけるために

 プロジェクトが目的とするものを正しく把握することの重要性は、いくら強調しても強調しすぎることはありません。目的を正しく捉えずに進めたプロジェクトが、終わった段階で自然に目標のゴールに到達していたということはありえないためです。

 いくらプロジェクトが期限通りに、そして予算内に終了しても、最終的に得られた成果物がクライアントやプロジェクトオーナーに便益をもたらすものでなかったとしたら、そのプロジェクトは成功と呼べるものとはならないでしょう。

 ここで注意しなければならないのは、クライアントやプロジェクトオーナーの要求にそのまま応えただけでは、実はそのクライアントやプロジェクトオーナーに便益をもたらすものとはならないことがあるということです。

 なぜそのようなことが起こるかというと、クライアントやプロジェクトオーナーの”要求”をただ受け取るだけでなく、その背景にあるもの、潜在的な要求、または真の要求を把握しなかったためです。

 では、真の要求にどうやって到達することができるのでしょうか。良い方法は、理由・目的・価値の3つの観点から要求を吟味することです。

 まず、その要求の理由を確認することです。例えば社内にワークフローを導入したいのはなぜか?決裁文書の回覧を紙ではなく電子化したが、メールのやり取りでは回覧がどこまで進んでいるのかわからないので、見える化したい等。じゃあ現状は電子化がどこまで進んでいるのかという疑問が湧いてきます。書類を毎回メールに添付しているなら、その書類をワークフロー上に載せるか、共有フォルダを準備してそのリンクを扱うかということまで考慮する必要があります。

 次に、その要求の目的を確認することです。目的が理由になることがありますから、目的と理由は重なる部分が多いでしょうが、敢えて違いを見つけると、理由は過去や現在の状況に基づくきっかけを示すもの、目的はそれによってこれからどうしたいのかというもの、と区別することができます。ワークフローによって決裁処理が停滞することなくスピードアップしたいのが目的であるなら、ワークフローの導入によって本当にスピードアップするのか検証する必要があります。

 決裁処理が滞る原因が、上司が頻繁に外出するのでデスクでワークフロー操作をする機会が限られるためであるとしたら、外出先でもワークフローを操作できる様、スマホ上でも動くものとする必要があります。または、ワークフロー上の案件によって、決裁権限の委譲が動的に実施されるものとする方法もあるでしょう。

 あるいは、そもそも上司に決裁を急ごうという意思がなければ、どんなシステムを入れてもスピードアップは図れません。その場合はワークフローを導入する以前にやらなければならないことがあります。そんなことも要求と共に確認しなければなりません。

 そして、最も大切なこととして、その要求はどんな価値をもたらすかを考えることです。ワークフローを決裁処理だけに適用するのではなく、組織内の誰もが自由にカスタマイズして利用可能とすることにより、当初対象にしていた以上の業務において効率化が図れるようになれば、より大きな価値を得ることができるということになります。そのためのカスタマイズ性が必要となるでしょう。

 あなたの組織では、プロジェクトの要求を疑いなく受け入れるのではなく、その理由・目的・価値がどこにあるのかに思いを巡らせているでしょうか。プロジェクトが終わった時に、成果が曖昧になってしまわない様、真の要求を獲得しようとしているでしょうか。

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