No.121: トラブルの予兆に気づけるか?

プロジェクトがトラブルに見舞われるとき、容易に想像が着くと思いますが火が大きくなってから消火するよりも、火種の段階で消し止める方が影響や労力が小さくて済みます。問題は、火種の段階で気がつくか、火が着きそうな段階で早めに気がつくかということです。
この、火種の段階でトラブルに発展しそうな危険な匂いを嗅ぎつけることができるかどうかは、プロジェクトを成功させるために大切な能力、スキルと言えます。しかし、特別に難しいことではありません。
多くは、目の前で起こることを神経を研ぎ澄まして観察していれば気がつくことです。ただし、多少の経験は必要かもしれません。初めてプロジェクトマネージメントに関わる人には難しいかもしれませんが、日頃から観察力の鋭い人は経験年数に関係なく予兆を捉えることができるのではないかと思います。
私の経験上、プロジェクトが失敗する三大要因は、要件定義の誤り、見積り誤り、そして計画の不備にありますが、これらの作業は後のトラブルを予防しながら進めるべきものです。もしトラブルにつながる問題が潜んでいて、この初期段階でそれに気がつくことができないと、問題が表面化してしまった時には思ったよりも影響範囲が大きくなってしまいます。
例えば顧客の要求に基づいて要件を定義し、その内容を説明していると担当者が「はい、はい、そんな感じでいいです」と簡単に了承している。何だか簡単に要件が固まるなあと思っていたところ、実際に実装フェーズに入ると、ここはこうして欲しい、あそこはこれがいい、と後出しジャンケンで細かい要望を言ってくる。
その顧客にとっては、要件定義は暫定的なもので、出来上がりつつあるものを見ながら確定させていくというのが当たり前のことだったとすると、これは当初の計画通りには進まないプロジェクトということになります。
できれば要件定義のフェーズがあまりに簡単に進んでいくことに疑念を抱き、トラブルの予兆を感じられなければいけませんでした。
もちろん、初期段階を通り過ぎた後も、常にトラブルの予兆に感度を上げておかなければならないのは言うまでもありません。プロジェクトマネージャ(PM)から定期的な進捗報告が上がって来ない。聞くと、「ちょっと忙しくて今回は間に合いませんでした。今回はスキップし、次回報告させてください。」と言われたが、次回を迎えても状況が変わっていない。
これは、明らかにプロジェクトに異変が起きています。2回待たずに、一度でも報告できない様な状況があれば、上位者はふらっと現場を訪れてみて何が起きているか観察してみれば良いのです。そして、たまたま一時的にバタバタしているだけで、そのまま現場に任せておけば大丈夫そうであれば、静観すれば良いのです。
予兆を捉えるのはPMだけの仕事ではありません。その上位者も、PMの動きに何か不安を感じさせるところがないか、注意して見るように心掛ければ、トラブルを火種のうちに消火することができるかもしれません。
あなたやあなたの組織では、トラブルの予兆に対して感度を上げていますか。トラブルの火種を見過ごして、炎が大きくなってから慌てて消火活動に入る、という様なことが常態化してしまっていないでしょうか。

